衝動買いの真実

あなたは衝動買いをしたことがありますか?

もし、したことがあるならその時の状況って覚えていますか?

えっ、年がら年中やってる!それは大変!!と漫才のような出だしになってしまいましたが、この「衝動買い」って、実は仕組まれているんです。

「混乱すると衝動買いを起こす」という習性を人間は持っているそうです。

なるほど、言われてみればそうかもしれない!と先の質問の答えにようやく辿り着いた方もいると思います。

大都市圏と地方の格差が言われても、また、都市へのモノ、人、情報の集積化の傾向に拍車がかかるのも、多分、人間の本能の中にこのような混乱との因果関係を求めるセオリーがあるのかもしれません。

そして、多分、人間は潜在意識の中では「衝動買い」を決して悪だと見なしているのではなく、むしろ「あれも欲しい、これも欲しい!」と思える自分を幸せだと感じているのかもしれません。

この理論は建築家から始まった

グルーエン転移(またはグルーエン効果)という概念がそれにあたります。

建物内が混乱に満ちているほど、消費者の衝動買いが増えるという現象を指します。

IKEAはその代表ですがドンキなどもそうですね。

昔のパチンコ屋での軍艦行進曲のような進軍調の音楽のかけ流し、「セール中」のPOPや「限定品」「今なら特典付き」などの大量のサイン表示、迷路のようなレイアウトとうず高く積まれた商品、等々ですね。

こう言われて思い出す店舗、他に出てきませんか?

1950年代、欧米で大規模なショッピングセンターの設計を多数行なったオーストリア出身の建築家、ビクター・グルーエンの名が冠されているわけですが、本人は、そうした作為的な購買誘引を否定しているようです。

日本ではモールに緩やかなRを使ったり、開口部から他の店舗が見えやすく設計されていたりしますが、グルーエン転移の日本流解釈なのでしょう。

この効果についての大学の講義映像をたまたま見つけたので、ご紹介しておきますね。

英語なのですがテロップがあるので、一つずつgoogleの翻訳機にかければ、だいたい何を説明しているのかはわかると思いますよ。

特に店舗設計している方にとっては貴重なデータです。

こういうのって、効果が現実に証明されてはいても、結局英語っていうだけで突っ込んで調べる人が少ないわけですから、しっかり学べば自分だけホンモノになれるわけです。

日本って、そういう意味ではまだまだチャンスがあるんだと思います。

混乱するとなぜ衝動買いが起きるのか?

グルーエン転移で有名なのは、何と言ってもIKEAです。

巨大な倉庫のような店舗の中は迷路のように複雑になっており、多数の壁で仕切られた通路はくねくねと曲がり、場所や方向を示すサインはほとんどなく、窓や観葉植物など、目印になる物もない。

今、自分はどこにいるのかもわからない。

店を出たくても、入口に戻ることも出口に行き着くこともできない。

店内に入った自分にできることは、ただ他の客の流れを追って、フロアを漂うことだけ。

「家具のデザインは魅力的だが、店内レイアウトのデザインはひどい。

しかし、この一見「ひどい」レイアウト、実は、非常に巧妙かつ意図的に仕掛けられているのです。
(店舗のレイアウトだけではなく、IKEAの商品には組み立て家具が多いのも有名です。めんどくさい組み立てというプロセスを経て、組み上げた時の達成感を愛着に転化させることを狙っているそうです。)

上の動画はロンドン大学で計量建築学を研究するアラン・ペン教授の授業です。
(ネット時代って凄いですね。昔なら巨額のお金を払わないと受けられない授業が、こうして日本にいながら受けられるわけですから。本当に2000万円得した気分になります!)

彼はIKEA店内の顧客の動きをシミュレーションで解析し、その結果、意図的に顧客を混乱させるレイアウトによって、顧客の「長い行列」ができることがわかったと言います。
(上の講義の映像の27:50あたりに、シミュレーションの可視化映像があリマス。)

ペン教授曰く、「店内の難解さは顧客の自律性を失わせ、服従させる。じらされた後には満足がやってくる。」つまり、店内で混乱した顧客は、砂漠で道に迷った旅人。苦労の末、眼前に現れた商品は、砂漠の中で見つけたオアシス。思わず手が出てしまう、と言うことですね。

「IKEAで購買した商品の60%は、当初購入予定になかったもの=衝動買いしたもの」と言うデータが、このセオリーを裏付けています。

もっとも、この効果自体はIKEAの発見ではなく、「グルーエン転移(”Gruen Transfer”)」として、以前から知られていたことで、オーストリアの建築家、グルーエンは、店内レイアウトが混乱するものであるほど、顧客は当初の購買目的を忘れて衝動買いに走る、と言うことを発見していたのです。

実際、日本の百貨店やGMSでも「売り上げの40%は衝動買い」という少しディスカウントした数字を述べていたこともあります。

多くの人は「わかりやすいほど、受け入れられる」と考えます。

しかし、実際の人間は、「わかりにくいほど、惹きつけられる」のです。

人間は本質的にミステリーが大好きなのです。

「嫌われるほど、思いが募る」と言う、矛盾した感情は、ある意味商売と恋愛は紙一重、という証拠なのかもしれません。

ネットでの集客

リアルとネットを同一視はできません。

おそらくその最たる違いは、「欲しいものを探すことができるネット」に対する「体を使って自分で欲しいものを掘り出す感覚のリアル」じゃないかと考えてます。

最近に限ったことではありませんが、例えば保険の契約書、投資商品など、分厚い契約書、パソコンなどについてくる分厚いマニュアル、ネットでサイトに表示される注意条項などなど、途中まで読んでいるうちに混乱し、結局そこら飛ばして最後のチェックボックスにチェックしてしまいますよね。

ここにはグルーエン転移はないのでしょうか。

結果的に購入する側としては商品のリスク等を完全に理解しないまま、深慮せず購入するというような事態ですね

これは長〜いセールスレターにも同じようなことが言えるかもしれません。

この話は前の投稿で少し触れているのですが、覚えていますか?

そこでは「複数の視点から納得した時に購買が起きる」ということを申し上げました。

それは「衝動買い」と矛盾するように思われるかもしれませんが、微妙にシンクロしているのです。

これは、「買うかどうかを迷っているという状況」と、「目の前にあれもこれも、という状況」の違いです。

ネットで長いセールスレターに出くわす状況は、「う〜ん、どうしようかな?」と迷っている状況であり、売り手側の狙いは決断を迫るということです。

買う側が決め手になる文章に出会えばそこで終了ですが、店舗では店を抜け出せない限り、「あれも、これも」の断続的な商品プレゼンテーションが続くということですね。

親ブランド、子ブランド?

IKEAとか楽天、アマゾン、そして百貨店やGMSの名称を親ブランドと呼ぶのは、いささか気が引けますが、ここでは便宜的にそう名前をつけておきます。

そして、そのモールに入居するのが子ブランドと呼べば、親ブランドは子ブランドの集合体であり、子ブランドに対する集客の責任を負ったブランドになるわけですね。

ですが、ある百貨店の店長から伺った話では、実際の親ブランドが行う店舗開発では、キイとなる子ブランドの入居がとても重要なのだそうです。

ここでもコンテンツとしてのブランドの存在が鍵となる時代であるわけです。

衝動買いの真実 まとめ

衝動買いとブランドには直接的な関連性は薄いのですが、ネットでの販売ページや集客を目的としたページをデザイン、レイアウトしたりする場合、この衝動買いの原理が応用されたパーツがあります。

パンくずリスト、サイト内記事のリンクの集積化、CTA(Click To Accessの略)などサイト内滞留率を向上させるよう様々な工夫が必要です。

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