あなたは、ご自身の商品を自分目線だけで作っていませんか?
こんな質問をすると、決まってクライアントは、ご自分の作り上げた製品やサービスの素晴らしさばかりを話し出します・・・。
そもそも「ビジネス」とは何から成り立っていると思いますか?
「ビジネス」とは、「生産」と「エクスチェンジ(交換)」から成り立っているものであり、「エクスチェンジ(交換)」が発生しなければ、売り上げも利益も出てこないのですよ。
実はすごく簡単なことなのですが、この簡単なところで多くの起業家は、過ちをおかしています。
特に、SNSを使って起業を成功させたいと思ってらっしゃる方の中には、
「自分が好き、売りたい、作りたい、と言う理由で商品やサービスを売る」
という、間違った方法でスタートしている起業家の方がいます。
ビジネスでの成功は、ご自身が手助けしているお相手、何かを売ったり、サービスしたりする相手からもたらされるものであり、あなたの独りよがりの考えだけでは成り立たないのです。
「ビジネス」をするということは、人が何を望んでいるのかを知ることが原点なのですよ。
技術を高めることに夢中 そこに誇りを持っていても売れないという現実
私の元に「ビジネス」のご相談をしたいと個人コンサルをお申し込まれる方がいらっしゃいます。
先日もクラフト系のものを作られて、ネットショップで10年ほど販売している、という方が、いらっしゃいました。
新規の方をコンサルティングする場合には、お申し込みが入った時点で必ず「コンサルティングシート」と言うものをお渡しし、コンサルティングの日程の前日までに返送していただくことをしています。
そのシートの中身は
- 販売している商品に関して
- ホームページやショップのURL
- 年間の売り上げ
など20項目ほどの質問内容になっています。
それを見るだけで何につまづかれているのかが解るのです。
目の前に現れた女性はアラ還世代。
すでにビジネス歴も15年近くになるのですが、今まではご主人の「稼ぎ」で生活は成り立っていて、ご自身で「必死で稼ぐ」必要も無く、作家としてクラフト系の講座やネットショップをやられていたとのこと。
ご要望は、今までの作家活動から卒業して
「今後は、もっと売り上げを上げていきたい」
「ブランディングでご自身の認知度を上げていきたい」
ということでした。
私は、コンサルティングシートの中身と過去に作られた作品(商品)を見ながら、実は少々困っていました。
そこで製品写真の中から代表作と思われる1枚を選び、一つ質問をしました。
「この製品は、どなたに向けて作ったものですか?
どんな方に買っていただこうと思って作られたのでしょうか?」
そうしましたら・・・
「この製品は、他の方ができない独自の手法で作っていまして、発表した時には、業界ではかなり注目されて業界の新聞にも掲載していただいたんですよ!」
とのお答えでした。
もう一度お聞きしました。
「業界での評判や注目は解りました。それで、この製品は実際に売れましたか?」
そうしましたら
「いいえ。売れなかったです。
発表した時は評判になり、ある代理店が販売を引き受けてくれたのですが、全く売れませんでした。
販売代理店からは、ピカソも最初は売れませんでしたからとだけ言われましたが・・・」
とのことでした。
そして・・・
「和のイメージで作っていますから、お蕎麦やさんや和食屋さんの店頭に飾っていただければと思っています」
との答えがやっと出てきました
その時に目の前のクライアントが、ご自分のテクニックや創作性にばかり気を取られ、肝心の買っていただける
「見込み客が何を欲しがっているのか?」
を、全く考えていないことが明確に解りました 。
「あなたの理想のお客様はどんな方でしょうか?」
と追い打ちで聞いていきます。
目の前のクライアントは困った表情をなさりながら、
「ある程度の富裕層の方で、日常的に、アートに関心のある方ですかね・・・」
との答えが出てきました。
そこで
「先ほどのお蕎麦やさんや日本料理屋さんとは違いますね・・・」
とお答えし、
顧客目線を全くお持ちでない目の前のクライアントに対して、一つの提案をさせていただきました。
「まず、今までの作品(商品)を、お友達では無い少し距離があるお知り合いに見せて、この作品(商品)をどう評価するのかを聞いてみてください。
多分、最初は「素敵ですね」とか「よくできていますね」とか仰られると思いますが、肝心なところは、その方が◯◯さんの作品(商品)を買いたいかどうか?です。
もし、買いたいとお答えいただけたらいくらなら買うか?
ここを3人くらいの方に聞いてみてください」
と、ご提案しました。
目の前のクライアントはかなりビックリな反応をなさいましたが、この提案を受け入れてくださり、後日、その結果ご報告をいただけることとなりました。
そして数日後、予測していた答えが出てきます。
「数人の方に聞いてみましたが、この作品(商品)には興味を持っていただけたようです。
ですが、この作品(商品・代表作)自体は素晴らしいとは言ってくださいましたが、欲しいとは仰ってくださいませんでした・・・」
混乱したお顔で少々困ったような、ご自身の作品を否定されたような気持ちになられたのが手に取るように解りました。
ビジネスとはそれを欲しがっている人がいることが大前提
「◯◯さん。今日はハッキリと申し上げますね。
私が、初めて◯◯さんの作品(商品)を見た時に、個人的には、良くできている作品(商品)だなと思いましたが、私の部屋に置きたい、買いたいとは思いませんでしたよ。
なぜなら、作品(商品)があまりにも個性的だから。
テクニック的には凝ったものであるのは解りますが、この作品(商品)を持つことで得られる豊かな空間とか優雅な時間とかがイメージできなかったんです」
そして
「買われるお客様(見込み客)が、何を欲しいと思っているのか。
そんなことを、今まで考えてみたことはありましたか?」
と核心の質問をしてみました。
そうしましたら
「いいえ・・・そんなことを考えなくちゃいけないんでしょうか。
今まで、いかに独自性を出すか、新しい技術をあみだすか、それが全てだと思っていましたので。
私の技術は、業界ではトップだと自負しています。
発表するものは、必ずライバルの方がたも見ていて必ず真似されるんですよね・・・」
「でも、売れていないですよね?」
と念を押すと「はい」とのこと。
私もここで腹をすえました(笑)
「もっと具体的に言いましょう。
今回のこの作品ですが、私が同じ業界のアーティストとして、◯◯さんの作品を見た時にどうするか。
この作品(商品)のテクニックは真似して、一つ一つに工夫を凝らしているところは残しますが、デザインがあまりに独創的でくどいので、少し間引きして、全体的なバランスを見て一般の方が見て素敵と思える物と差し替えますね。
主役(技術的にすごい部分)を際立てながら、カラー調整をし、他のインテリアに合うようまとめますよ。
買いそうな方が、初めて見た方にも素敵!これなら買いたい!と思ってもらえるように、今のインテリアのトレンドも意識してお部屋に飾っても、そこの空間が優雅になるものとして作り直します・・・」
と伝えました。
そうしましたらクライアントは
「今まで他のライバルの方にそれと同じことをされてきました!技術は盗まれ、真似されて・・・」
そこまで来てやっとハッと気づいたようで、私が何を言いたいのかが解って来たようです。
「◯◯さん。ビジネスをなさりたいのでしょう?
売り上げをあげなきゃいけないのでしょう?
売れるものを作らなければビジネスは成立しません。
ご自身の技術の探求だけなさっても、そこには誰もお金は払ってくれませんよ。
買う方は、ご自分の欲求を満たすものでなければ買わないからです。
だから、もっと見込み客のニーズや欲求を知らなきゃね・・・」
「ご自分の技術は、どうぞこれからも高めて行ってください。
それは、生産者としては当たり前の行為ですし、新しい知識もテクニックも、随時身につけていくことが大事です。でも、常に見込み客が待ち望んでいることこれを意識して行ってください。
見込み客に追従していけと言うわけではないですよ。
でも、◯◯さんの作品(商品)を世に出す前に、
この作品(商品)で、見込み客のハートを掴めるのかどうか?
ここ大事なところです。意識して行ってくださいね」
目の前のクライアントはうなだれてしまいましたが、顔をあげて
「頑張ります。今まで頭が固かったですね」
話の真意をお解りいただけたようでした。
見込み客が何を望んでいるのか?まずはそこを考えるところから始めましょう
「ビジネス」の成功とは、ご自身が手助けしようとしているお相手や何かを売ったりサービスを提供しようとするお相手があってこそで、その方たちからもたらされるものです。
そして、その方たちが何を望んでいるのか?を知ることが最初の原点なのです。
でも実際には
「見込み客や顧客が買いたいからではなく、ご自身が好き、売りたいと言う理由で商品を売る」という間違った方法で、ビジネスをスタートする方があまりにも多いのが現状です。
こういう方は
ご自分の商品を買ってもらえる方を探すのに無駄な努力をなさっていて、
ブランディングをすれば、売れるんじゃないか・・・
SNSで有名になれば売れるんじゃないか・・・
と勘違いなさっています。
こういう方はたいてい行き詰まってしまいます。
見込み客が何を待ち望んでいるのか?
あなたと付き合うことで、見込み客や目の前の顧客がどのような価値、利益、メリット、多くの見返りを得ることができますか?
このことを、もう一度考えてください。
そうすれば、見込み客を開拓し、現在の顧客をつなぎとめ、顧客との長いお付き合いが始まります。
ビジネスの側面で「好きをビジネスにする」ことは素晴らしいことだと思います。
でも、そこには自分からの視点だけではなく、見込み客が何を買いたがっているのか?」という視点を常に持ってビジネスを構築して行ってください。
あまりにも多くの起業家が見込み客が何を求めているのかを分析せずにビジネスを始めます。
これは大きな間違いです。
このやり方ですと、相当な幸運に恵まれない限りは成功を収めることは無理なのですよ。
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