自分の思う方向に人生の舵を切るには

自分の思う方向に人生の舵を切るには、他人の記憶に残る、残す、ということが必要です。

これを突き詰めて考えてみると、名前、偉業、はたまたキャラクターのような特徴的なことが、何かのイベントが発生したときに、その記憶を呼び起こすトリガーになっていることにふと気が付いたので、今回はそのお話をしてみますね。

偉業にインパクトがある場合と日常性がある場合に起こる違い

(競馬では天皇賞というレースがありますが、言葉の連鎖で、天皇賞→天覧→天覧試合というように、競馬から野球へと記憶がジャンプする、こういうのもイベントと言います。いささかコンピューター用語的ですがご容赦ください)

天覧試合での逆転サヨナラ満塁ホームランと言えば「長嶋茂雄」であり、756号のホームラン数を達成したのは「王貞治」というように名前と偉業は密接な関係性を持って人々の脳に記憶されています。

その一方で、「王貞治」がいつその記録を達成したのか?ということは案外一般人には記憶が無いものです。

積み重ね的偉業というものには、インパクトよりも日常性的イメージが強くなってしまうもの。

「あっ、また打った」「また勝った」というように、ホームランを毎日のように打つこと、毎日のように試合に勝つことは、決して当たり前なことではないにもかかわらず、そのことが当たり前になってしまうと、定型パターン化されてしまうからなのでしょう。

もしたしたら、あと10年か20年の内にはその記憶も風化してしまうかもしれません。

なぜならコツコツ積み上げた努力の軌跡のような方向性で天才と呼ばれた人は、記憶を引っ張り出す強烈なトリガーがないからです。

人間は過去の記憶から、自分の未来を構築しようとする

さて、他人に記憶されることから離れ、今度は人間が生活していく上での「記憶」の利用の仕方を考えてみます。

記憶というものは非常に大切な能力であることは誰もが認めることです。

生活では繰り返しの動作が占める割合がほぼ100%であり、料理の仕方や手順、照明のスイッチの入れ方、お風呂に入ってから出るまでのやることの順番、車の運転の仕方、・・・等々、枚挙に暇がありませんね。

これらもつまり手順としての記憶です。

また別の側面から考えると、記憶というものは過去の感情を伴った手順と結果の蓄積であり、人間はある意味、記憶の支配下で生活しているということが言えます。

平穏な日常生活を送るには欠かせない大切な記憶ですが、これがカバーできない人生の領域があります。

「創造」という領域です。

人間、新しいことを始めたり、引っ越し、進学、就職などのような、それまでの生活から全く別の環境に身を置く場合や、新しいことを創造するために、自分の記憶に問い合わせをしようとしますが、実はこういう局面での記憶からの回答はほとんど無い、という状況が生まれます。

つまり、人間は過去の経験から自分の未来を構築しようとする、ということです。

人生の舵を大きく切ろうとするときには他人の記憶の判定の影響もうける

これを演繹(えんえき)というのですが、日常生活でも仕事でも、頼りにする記憶はほとんどが経験値であり、極めて現実性の高い領域の記憶がほとんどなので、急激な環境の変化や定型化された人生のパターンからの脱出には演繹法は向かないのです。

こうした局面に演繹法が向かないもう一つの理由として、現実性の高い領域の記憶には、その記憶の一つ一つに必ず判定が付きまとっており、理性から離れた感情のエリアに蓄積されていることがあげられます。

失敗して窮地に立たされた記憶があれば、そこには「焦燥感」という嫌な感情が付き纏いますし、思いがけない幸運を掴みとれば、自分にとって好都合であり望ましく、高揚感、幸福感に包まれた記憶として残ります。

さて、人とは違ったことをやって、人生の舵を切ろうとすると、これには自分の記憶もさることながら、他人の記憶上の判定の影響をモロに受けます。

責任というプレッシャーとも重なって、なかなかそういう方向には舵が切れるものではありません。

誰かの言うことに従っていれば間違いない、この作業はこれこれこういう手順でやればこうなる、うちの子供はこうすると機嫌が良くなる。・・・成功パターンも失敗パターンも記憶の中に感情と共に蓄積されています。

厄介なことに、新しい環境、パターンから抜け出すという局面には記憶において成功よりも失敗の記憶の方が多いので、かなり感情的にはダークなものであり、あまり頻繁にはアクセスしたくはない領域の記憶であるがゆえに新しい門出への行く手を阻むのです。

人生相談が一つの商売として成り立っているのは、こうした感情のダークサイドに自分だけではアクセスできないからだと思います。

またアクセスできたとしても、その時に経験した感情が蘇り、冷静な思考を展開できなくなり、一人ではそこから抜け出せなくなることを人間は本能的に知っているからです。

企業の新規事業参入という局面で採用される「仮定法」

ただ下手な人生相談を避け、有意義な相談を受けるにはどうすればよいのか?ここではそのヒントとして、仮定法を紹介します。

西暦2000年前後の頃、大企業でも新規事業に参入する企業が多く、当時としては外部のコンサルタントも数多く利用されていました。

企業の新規事業参入という局面は、これまで述べてきたように人間の記憶のダークな部分を扱うので、コンサルの手法も演繹的な手法ではなく、仮定法を利用していました。

仮定法はこれまで述べてきたような、過去の記憶から未来を導く、というやり方ではありません。
個人という1対1のコンサルではない、企業レベルでの新規事業コンサルは、複数の複数の役員、管理職、株主まで巻き込むわけですから、演繹的手法で新規事業を立案したり評価したりすると関与している各々から個人レベルの反撃を食ってしまいます。

そこで仮定法なのですが、どういうことかを一言で表すなら、「新規事業の望ましい姿を、ビジュアル的、数値的、人間関係的等々、可能な限り考えられ得る方法で表現し、合意を取る」というものです。

「仮定法」を個人レベルで利用するときに起こる問題とは

これは複数の人間が関与する企業の新規事業という場面において採用された手法なのですが、個人レベルでも簡単に利用できます。

さてここで重大な問題があります。

手法としての仮定法に基づいて作り上げた新しい未来に第一歩を踏み出した後、日々の生活を支配する演繹的に未来を作り出そうとする習性を克服しなければ、折角の仮定法で設計した事業や人生も現状で経験した価値判断基準がもとの生活に引き戻してしまうことです。

記憶への問い合わせを行う習性の厄介な点は、それが潜在意識のレベルで動作しているところです。

ですから、いくら新しい未来を仮定法に基づいて作り上げたとしても、日常的に動作している演繹的未来創造マインドを拭い去ることはできません。

コンサルタントというものが必要になるのは、このような理由からです。

つまり、新しい未来を方向性として打ち出したら、仮定法で描き出された手順にそって、その後の人生をメンテナンスする必要があるのですが、それを自分一人で行うことは先ほど述べたように、潜在意識で動作している記憶への問い合わせという演繹的手法に支配されている自分一人だけでは、ほぼ無理だからです。

人生はピークとボトムの繰り返しであると認識しよう

さて、仮定法に基づいた人生の舵取りの話に入りますが、人生の主役であるあなたにとって、どのように人生を演出するべきなのか、は私にはわかりませんが、少なくとも今この時点で人生の舵を切る、という決断をしたのなら、おそらくあなたにとって今という時間はあなたの人生においてのピークではないことは間違いないでしょう。

感情的にネガティブになっているからこそ、今この時点で人生の舵を切らなくては!と思ったはずです。

デジャブの連続のような繰り返しの人生からの離脱をし、自分にとって都合の良いことが次々と起こり、思い描くようなシーンを演出したいと思っての事だと思います。

面白いことに、人生というものがピークとボトムの繰り返しであることを前提にして人生の舵取りをしようとする人は意外に少ないものです。

結構目の前にある状況が深刻に見えて、そこから離脱したい、とか、「年収一億稼いでます」といったコピーが頭の中で支配的になり、ついには年収一億になることが人生の目標になっちゃったりしている人が多いんですよね。

トム・ハンクス主演の「フォレストガンプ」という映画がありますが、やることなすことが、次のラッキーにつながるというコンセプトを主軸にしたものでした。実際このようなラッキーの連続が起こる人生を送れれば、それだけで最高だとは思いますが、それを実現させる手法は存在しません。

それよりも「人生はピークとボトムの繰り返しである」ことを前提として今を考える方が現実的です。

過去の演繹から脱出するためにピークとエンドを考える

天覧試合の打席に立った長嶋が「ここで一発打ったら、俺はヒーローになれる」と思ったのかどうかは知りませんが、9回裏2死満塁で一発が出れば逆転サヨナラ!という局面に野球選手が出くわす確率はみなさんが思うほど低いものではないし、それに準じる状況は結構あるものです。

まあ、長嶋のようにその場面に天皇がいる、なんて状況は本当にあの瞬間だけでしたが。

過去の演繹から離脱するためのプランを練る前に、まず人生のピークとエンドを考えてみましょう。

実際物語というものはシンデレラが王子様と結婚して終わりですが、現実はその後の夫婦生活というものが待っています。

一緒に生活をすることが夫婦の基本であるがゆえに、それまで見えていなかったお互いの素性が見えてしまい、急速に熱が冷める、ということは結構あります。

また、結婚がゴールであった場合、その後の生活の青写真がなければ、子供ができて、家を建てて・・・というような世間的人生パターンが自分の人生にデジャブのように現れてしまっていることに「飽き」をもたらすかもしれませんし、ピークとは逆のボトムとなるような悲劇が襲い掛かってくるかもしれません。

「輝き」のある人生に舵を切るにはイメージからのアプローチが有効

「輝き」のある人生を求める人は多いのですが、では、どのような輝きを求めているのでしょうか?

この「輝き」というものを具体的に言語化してしまえば、それは「自分が望む反響を得る」ことだと言えます。

(「輝き」という言葉を使うのは圧倒的に女性が多いのですが、どのように輝きたいのかを述べている人が余りにも少ないのは日本女性の特有な奥ゆかしさから派生するのかもしれません。

それだと男性には理解できないままなので、抽象的にどのようなことなのか?ということを表現してみました。)

「輝く人生」、そういう方向に人生の舵を切るには「イメージチェンジ」というものの効果が結構大きくて、他人への印象をシフトさせる良い手段です。

自分の記憶の演繹的な習性の影響から離れるには、イメージからのアプローチが非常に手っ取り早く、設計もしやすいのです。

実際イメージを扱うビジネスをしている人は、データとしてどのようなイメージがどのように他人の印象、記憶に残るのかを知っており、あなたが望む反応を得やすいのです。

コンサルティングという言葉にアドバイス業というニュアンスを持っている方は少なく無いと思いますが、コンサルティングの本質はコンサルタントが意見や主張をクライアントにぶつけることはしません。

クライアントが絶対にわからない立ち位置、つまり「第3者としてどう見える」のかを専門的な立場からお伝えすることが本質です。

特にビジュアル的観点からのコンサルティングというものは、そういう第3者的な立場を崩せば一巻の終わりです。

ブランディング・コンサルタントがどのようなコンサルティングを行うのかについては、こちらに記事がありますので、ご一読ください。

きっとあなたの人生の舵取りの為の意外なヒントが隠されていると思います。

「着火型」コンサルのスタイルとは〜?
https://tamamitakahashi.com/2016/11/22/branding_ignition/

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